小規模事業者新事業全国展開支援事業推進にあたり、一言ごあいさつ申し上げます。
観光地会津にとって食と観光は切り離せないものであり、こうした時代の中、現在求められている観光とは何か、私たちは「産業観光」という新たなジャンルに大きなヒントが隠されていることに目を向けました。このことは、時代の流れと合わせ日商の推奨する流れと同じであり間違いではありませんでした。
去る平成18年11月16日から3日間、北九州市の小倉に於いて「第6回全国産業観光フォーラム」が開催され、本年10月の会津開催が決定されました。会津からは小野会頭、四副会頭をはじめ大勢の議員諸兄が参加し、新しい地域経済の活性化策として位置づけられる産業観光についての討議がなされ北九州三県では共同で近代産業の遺構(八幡製鉄の国内第1号炉など)を世界遺産に登録するまでの経緯が報告されました。
それでは産業観光とは何を指し、何を意味するものでしょうか?
産業観光とは産業構造の変化により今までの国の近代経済を支えてきた産業の遺構が不要となり、次々と破壊され、廃棄されていく中で、JR東海の須田会長(当時)から、それらを保存活用することにより新しいツーリズムが発生し、地域経済の活性化が図られるとの考えが提案され、2000年新居浜市において旧住友鉱山の遺構に再び光を当て、観光誘客に生かそうとフォーラムが開催されたことに始まります。それ以来、観光概念の中にいわゆる旧来型の物見遊山観光に対し、テーマ性趣味性に優れ、旅をする個人の幅広い欲求にも応えることができ、どの地域にも存在し活用できるものが、産業観光であると位置づけられました。又、観光産業は、地域が主導し地域が支える、いわゆる地方分権そのものを魅力に変えて情報発信するという点で、これからの地域経済自立のあり方をモデル化するものといえるでしょう。
私は現在須田委員長と共に21世紀の観光に関する経済活性化策を国に提言する議論をいたしております。そして、世界の中でまだまだ未熟であるわが国の観光に対し、観光立国を宣言するとともに、観光省の設立を提言いたしておりますが、それらの中心施策の中に産業観光の推進が盛り込まれることになっております。
昨今、日本はいざなぎを越す景気であるといわれておりますが、我が会津においては中小商工業者の廃業や倒産が増加するなど、厳しい状況が続いており日本経済が活況であるという実感は持てない状況であると思います。私たち商工会議所はそのような中にあっても会津を活性化させていかねばならない責務があります。それでは会津を活性化させるための手段はあるのでしょうか?
それは、会津の歴史に蓄積された、ポテンシャルを生かすことにあると考えます。会津は1590年豊臣秀吉により会津に移封された名将蒲生氏郷公により創り上げられた伝統的ものづくり産業の発展により、今日まで会津の経済を支えることができました。また、明治の産業革命以降は、会津の誇る水資源の活用により全国有数の電力供給基地として100年以上もの間、東京や仙台をはじめとする各地に送電を行い日本経済の発展と地域貢献に寄与してきたという歴史があります。それらの基盤の上に現在の半導体産業を中心とする現代産業が立地されてきたことを考えますと、ある意味で会津には他に例を見ない魅力的でダイナミックな産業の歴史があるといえるでしょう。
しかしながら、時代を支えてきた物づくり産業も、国家の近代化を支えてきた近代産業(遺構も含む)も、このままの放置状態が続けば風化したり消滅してしまうことが危惧されます。今こそ、それらにもう一度光を当て、魂を吹き込み地域経済の中でも経済波及効果が高いといわれる、観光の素材としての『生きた産業』としてとらえて見ることが今後の会津経済の再生につながるのではないかと考えます。
商工会議所は昨年10月、本事業の中で半導体産業や会津大学のイノベーションセンターなどの現代産業、東京電力猪苗代発電所や一の戸鉄橋等の近代産業、そして今も、街中に点在する伝統ものづくり産業群など、三つの時代の産業を組み合わせて産業観光のコースを設定し散策を実施しましたところ、参加された方々や受け入れ先となっていただいた企業の皆さんからこの事業に対し押し並べて高い評価と力強い賞賛のご意見をいただきました。商工会議所といたしましても、この運動が現在も会津を支え続ける中小商工経営者の皆さんに気力を与え、後継者や従業員にやる気を与える一助になれば、間違いなく今後の会津経済の発展につながっていくものと考えております。産業観光の推進はすべての商工業の発展を押し上げる施策といえるのです。